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カウンセラーに必要なラポールとは

空と葉っぱ

カウンセラーを目指す方は、

心理カウンセラーの資格を取得し、カウンセリングの技法や心理学の知識を得ることができれば心理カウンセラーになれる!心理カウンセリングができる!


と考えてらっしゃるかもしれません。

確かに心理カウンセリングを行うには技能や知識は必要ですが、中には心理カウンセラーの資格を取得していないカウンセラーも存在します。

資格を取得していないにもかかわらず心理カウンセラーを仕事としている方は、なぜそれが可能なのでしょうか。


その理由は、このラポール作りが上手いから、というのも一つの理由なのです。

目次

ラポールとは何か

ラポールという言葉は、あまり馴染みのない、ふだんは聞かない言葉だと思いますが、ラポールとはフランス語で架け橋のことです。

架け橋とは、カウンセラーとクライエント(相談者)との間に橋が架かっている状態、すなわち信頼関係をいいます。


カウンセリングを成功させるには、このラポール作りがとても重要になってきます。


もし、クライエントとの間にラポールが無ければ、たとえ効果的な心理療法を用いてもカウンセリングは失敗に終わってしまうかもしれないのです。


ラポールはなぜ必要か


心理カウンセリングでは、クライエントの感じている【本当の気持ち】を伝えてもらう必要があります。

なぜなら、こころの奥にしまい込んでいた感情を放出することで、カタルシス効果※①が生じるからです。

カウンセリング中にカタルシスが起こると、こころの中のもやもやしたものが無くなって、気分が楽になります。

こうしたことがあると、

あんなに辛かったのに楽になった!カウンセリングを続けてみたい!

と感じたり、

カウンセラーは自分をわかってくれている、このカウンセラーのカウンセリングならきっと効果があるだろう!

と考え、

カウンセリングや心理療法にも進んで取り組んでいこう!

という気持ちになるのです。

しかし、ラポールが無ければカタルシスも起き難く、形だけのカウンセリングになってしまうこともあるのです。


ラポールがなければカウンセリングは失敗しやすい

カウンセリングや心理療法はカウンセラーが一方的に行うものではなく、クライエントの気持ちも大切で、互いに協力しながら進めていくものです。


もし、カウンセラーとクライエントの間にラポールがなければ、

本当に効果があるのだろうか?

と不信感が募り、カウンセリングや心理療法はうまく行きません。



こうしたことが続けば、

カウンセリングなんて効果がない!


と考え、やがてカウンセリングに訪れなくなってしまうことも考えられるのです。

ラポールのあるカウンセリングとないカウンセリングの比較

では、ラポールのあるカウンセリングと、ラポールのないカウンセリングの比較として、社交不安障害※②の方の事例を見ていきましょう。

①ラポールがない心理カウンセリングのケース

カウンセラー

あなたは、そんなに人前で食事することが怖いの?

クライエント

はい、人に見られるのが嫌なんです。

カウンセラー

そんなこと気にしなきゃいいのに。誰も見てないよ、あなたのこと。

クライエント

…それでも、気になってしまうんです。

カウンセラー

どうしてです?過去に何かあったの?

クライエント

とくには…

カウンセラー

話してくれないとわかりませんよ。

クライエント





②ラポールのある心理カウンセリングのケース

クライエント

人前で食事すると、なんだか落ち着かないんです。

カウンセラー

人前で食事するのが、ちょっと苦手なんですね。

クライエント

はい、そうなんです。妙に緊張してしまうというか…

カウンセラー

うんうん。リラックスして食事ができないんですね。

クライエント

そうなんですよ、というのも、実は過去に…

カウンセラー

うんうん。



いかがでしょうか。皆さんがクライエントだとして、どちらのカウンセラーなら話しやすいでしょうか?

ラポールがないカウンセリングでは、

カウンセラーが無神経に言い放っていたり、決めつけたりしています。


その結果、クライエントは言いたいことが言えず、カウンセラーの間に壁を作ってしまいました。

カウンセラーからすると、言いたいことを言い合える関係を早く構築したい、という意図的なものかもしれませんが、これでは返って逆効果です。

こうしたカウンセリングを続ければ、やがてクライエントはカウンセリングを諦めてしまうかもしれません。

では、ラポールのあるケースではどうでしょうか。

このケースでは、カウンセラーがクライエントを理解しようという気持ちが会話に表れています。

無神経でもなく、かといって畏まっているわけでもなく、温かみのある対応ができています。


その結果、ラポールが形成された、または作られつつある中、クライエント自らが、自分の過去を話そうとしています。


こうしたカウンセリングではカタルシス効果も期待できますし、やがて問題の本質も顕わになり、様々な気づきを体験していくでしょう。


こうなればクライエントは、【カウンセリングを続けてみたい】と考えられるようになり、今後取り組む課題や、今後の心理療法についての相談なども、スムーズに進めることができるのです。

ラポールが形成されていれば、相談しやすい

花畑と空

こうしたことからも、ラポールがカウンセリングにおいて、いかに大切かがわかるかと思います。

ラポール形成は心理カウンセラーでなくとも、仲の良い相手なら自然と形成されます。人に相談しにくい悩みでも、仲の良い相手になら話せることがあると思いますが、これはラポールが形成されているからです。


相手に心理学の知識がなくとも、相手が心理カウンセラーでないとしても、ラポールという架け橋がかかっていれば、人は話しやすいのです。



逆に心理学の知識があるはずの心理カウンセラーであっても、権威を振りかざすような人であれば、カウンセリングはうまくいきません。

なぜなら、クライエントは委縮してしまい、安心して自分の気持ちを伝えることができないからです。

そうした人にカウンセリングを受けるよりも、仲の良い友人に相談したほうが、まだカウンセリング効果が期待できるかもしれません。



中には心理カウンセラーの資格を取得していなくても活躍しているカウンセラーもいますが、それはこうしたラポール形成が上手だから、というのも理由の一つにあります。


心理カウンセラーの資格や、心理学の知識ももちろん大切ですが、それはこころの代わりにはならないことを知っておく必要があるのです。


カウンセラーを目指すなら、ラポール作りは必ず必要

心理カウンセラーとクライエントは、初対面ではお互いにラポールがありません。

それを無視して教科書通りのカウンセリングをするのではなく、初期の内からラポールを意識したカウンセリングをしていく必要があります。

カウンセリングの時間は短いですから、その短い時間内に、いかにラポールを構築していくかがカウンセリング成功のカギになるのです。



カウンセリング用語解説

※①カタルシス効果とは、抑圧された感情を解放させることで症状が消失することをいう。

※②社交不安障害とは、極端に人前で恥をかくことを怖れるメンタル疾患をいいます。
人前で赤面するのを怖れたり、人前で話すことを恐れたりと、その種類は様々です。


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