カウンセラーがラポールを作るには?カウンセリングに必要なラポール形成

カウンセリングではクライエントの話を聞いていきますが、ただ話を聞けばいいわけではありません。
双方の間にラポールがなければならないのです。
カウンセラーはカウンセリングをする際、自己一致、共感的理解、無条件の肯定的関心をもってクライエントの話を聴く必要があります。
共感的理解、無条件の肯定的関心についてはこちらをご覧ください。

- カウンセラーは自己一致(純粋さ)してなければならない
- クライエントに対し、共感的理解(共感)をしていること
- クライエントに対し、無条件の肯定的関心(肯定)を持つこと
- カウンセラーとクライエントの間にラポール(信頼関係)が成立してなければならない
- 受容と共感がクライエントに伝わっていなければならない
- クライエントは自己不一致の状態にあることを知っておかなければならない
今回は④のラポールについて学んでいきましょう。
ラポールとは
ラポールとはフランス語で架け橋のことです。カウンセラーとクライエントの間に架け橋がかかっている状態、信頼関係がなければならない、ということです。
ラポールのないカウンセリングでは、いくらカウンセリングを行っても効果が薄く、カウンセリングが失敗するとまで言われている重要なものです。
カウンセリングでラポールを作るには
ラポールを形成するには色々ありますが、お勧めできる方法としては、
- 対等な関係を作る
- 自己開示してみる
これらの方法がお勧めです。
①カウンセリングで対等な関係を作る
カウンセリングでは対等な関係でなければなりません。カウンセラーというと、先生というイメージがあるかもしれません。しかしこれでは先生と生徒、のような関係になってしまいます。
先生と生徒の間にラポールが形成されているケースもありますが、どちらかというと先生より友達の方が話しやすいのではないでしょうか?
あなたとお友達の間にラポールが作られているから話しやすいのです。
カウンセリングでも同じことで、両者の間に隔たりがないよう気を付ける必要があります。
こうしたラポールをいかに早い段階で構築していけるかが、カウンセリング成功のカギなのです。また、対等な関係であるには、難しい専門用語を使わないようにするのが望ましいでしょう。
例えば、うつ病の方に対して、
カウンセラー今のあなたの状況は脳内のニューロンの接続部分であるシナプス間において、神経伝達物質であるセロトニンの放出が上手く伝達されずに引き戻され再度吸収されることによってうつ状態を引き起こすと共に、※アレキシサイミアを併発している可能性が考えられます。
※アレキシサイミアとは失感情症、つまり感情に気づかなくなる症状のこと
少し極端な例になってしまいましたが、精神科医であっても、こんなわかりにくい説明はしないと思います。
自己成長の力を引き出すためのカウンセリング、これはカール・ロジャーズの言う通り、大切なのは知識よりも
共感や肯定なのです。
カウンセラーに権威は必要ない
カウンセラーに権威は必要なく、くどくど難しい説明をしてたら両者の間に壁ができてしまうでしょう。
こうなると、友達には言いたいことが言えても、先生には言えない、となり得るのです。
カウンセリングでは相手を思いやり、心から話を聴くことが大切なのです。心から聴くことができる人とは、相手のことを共感できる人です。
共感とは、相手の体験したことを自分が同じように体験しているかのように感じて、相手の立場になって考えることです。
対等な関係を作るには、あまり難しい専門用語を使わないように、あまり【カウンセラーの先生】のようにならないよう気を付けてください。
②自己開示してみる
上下の関係を作らないためには、自己開示してみるのもお勧めです。
例えばクライエントが恋人に振られて傷ついている場合、もしあなたが似たような経験があるのなら
それを話して自己開示してみるのです。
そうすることで、



カウンセラーも私と同じ経験をしたことがあるんだ、この人なら自分の気持ちを理解してくれるかも?
と、対等な関係になりやすく、話しやすくなるのです。
ただし注意点があります。
- 話が長くならないようにする
- アドバイスはしない
これらに注意してください。
ロジャーズのカウンセリングでは傾聴が大切です。
あくまでもクライエントが中心でなければならないので、クライエントの話の邪魔にならない程度に話す必要があります。
また、アドバイスをするのも避ける必要があります。
自分の価値観を押し付けるようなことはせず、クライエントの話を共感、肯定しながら聴く姿勢が求められます。
相手を褒めてラポールを作るのは良くないの?
相手を褒めることでラポールが作られやすくなると言われています。
しかし、これには注意が必要です。
なぜなら意図的に褒めて仲良くなろうとする試みは、あまりにも不自然すぎるからです。
そうした不自然さが、非言語的コミュニケーションとして相手に伝わってしまう可能性があります。
非言語的コミュニケーションとは、言語以外の非言語のコミュニケーションのことで、顔の表情だとか
話し方、声のトーンや大きさ、しぐさなど、言葉以外の表現のことです。
実は言葉よりも先に、こうした表現が相手に伝わってしまうんですね。
では、自分の気持ちとは裏腹に相手を褒めたらどうなってしまうでしょうか。
笑顔は作り笑いになってしまうでしょう。そんな作り笑いで褒められたら相手はどんな気分でしょう。
カウンセラーは嘘をついて仲良くしようとしているわけで、自己が不一致している状態でもあります。
そういうところをクライエントは敏感に察知します。そうするとせっかく築き上げたラポールも崩壊してしまいます。
無理に相手を褒めるのは逆効果
自分の心に嘘をついてまで、相手を褒める必要はありません。気持ちがこもっていなければ、相手が傷つきます。
無理に褒めようとするのではなく、相手の辛い状態を自分に置き換えることです。
あなたの辛かった経験から、相手を共感できませんか。
共感できれば、ごく自然に相手を理解してあげれるし、力になりたいと感じるものです。
その真摯な対応は非言語として相手に伝わり、それこそ偽りのないラポールが形成されることでしょう。
そうすれば自然にカウンセリングを進めていくことができるようになるのです。
そうしたことから裏腹ない気持ちで褒めるのはラポールに繋がることもありますが、そうでなければ逆効果になるのを知っておいてください。
早い段階でラポール形成を意識する
いかに早い段階でラポールを構築していくかがカウンセリングの成功のカギとなります。
では、いったいどの段階でラポールを構築していけばいいのでしょうか?
カウンセリングを行う際、まず最初に相談者からメールや電話などで予約の連絡があると思います。
- こうした悩みがあるのだが、相談にのれるか?
- 良くなるまでどのくらいの期間かかるのか?
- 予約したいが空きはあるか?
- キャンセルはできるのか?
などです。こうした初めての接触からラポールを考えて対応していくことが望まれます。
つまり、親切で優しい対応が求められるのです。
ここで冷たく接してしまうと、冷たいカウンセラーと見なし、他に相談に行ってしまうかもしれません。
優しい対応、親切な対応で接することが大変重要です。
早い段階でラポールを構築すれば、その後のカウンセリングも進めやすくなるでしょう。
ある程度、親しい人の方が話がしやすいと思いませんか?それはクライエントも同じなのです。
カウンセラーもクライエントも緊張しているので、少しでも緊張を取り除くために、親切に、優しく、丁寧に、
ときには世間話も交えて(これは来談されてからでもよい)対応していきましょう。
ただし注意点として、メールや電話で話をそのまま聞き続ける必要はありませんので注意してください。
それでは無料のカウンセリングになってしまいます。だらだら話を無料で聞き続けないようにしましょう。



そこから先はカウンセリングで受けたまります



カウンセリングで相談にのります
と切り上げる必要があるでしょう。
ここら辺は、後に学ぶアサーションをカウンセラー自身も学んでいくことで上手く対応できるようになるでしょう。
ラポールについてはこちらも参考にして下さい。


