MENU
カテゴリー

カウンセリングって簡単なの?難しいの?カウンセリングの誤解

花

カウンセリングが簡単なのか、難しいのか、その答えはとても難しいです。

カール・ロジャーズは精神科医でなくても誰にでもできる!

としましたが、それには条件があり、共感したり肯定したり、ラポールを作ったりと、色々と条件があります。
カウンセリングは、ただ共感すれば良い、という誤解がありますが、前述した通り色々な条件があり、ただ共感すれば良いというわけではありません。

そのことも考えると、とても簡単とは言えません。今回はカウンセリングの難易度や誤解について解説していきます。

目次

カウンセリングの誤解

カウンセリングや心理療法は、素人が使うには大変難しく、何年も勉強し、訓練しないと身につかない、大学に行って心理学を勉強しないと習得できない。短期間では技術を習得できない、というのは本当なのでしょうか?

一般にカウンセリングや心理療法はとても難しく素人にはとても出来ない、と考えられているようです。

そもそも、なぜカウンセリングができたのでしょう?カウンセリングが作られた背景をみていきましょう。

カウンセリングが作られた背景とは

一昔前では、行動療法などの指示的な心理療法でクライエントに治療を行ってきました。
どちらかというとセラピスト(セラピーを行う人をセラピストと呼ぶ カウンセラーと呼んでもよい)側が積極的に介入するわけです。

当時、来談者中心療法の創始者のカール・ロジャーズもそうした支持的な方法をとってクライエントを治療していました。またロジャーズは、指示的ではないフロイトの精神分析も行っていました。

しかし、それでもクライエントの症状は中々良くならないのです。
そんな中、クライエントの話を共感して聴いていくことで、だんだんとクライエントの症状が良くなったことに気づきました。

非支持的なアプローチ、すなわち積極的に話を聞いていくことによってクライエントの状態が良くなることを見い出した彼は、人間には本来、自身で問題を乗り越える力を持っている。問題を解決できるのは自分自身だ、と考えることができるとし、今まであった心理療法の支持的アプローチとは違い、積極的な傾聴を行うカウンセリングを創始したのです。

また、当時はこころのお悩みなどに対し治療を行えるのは医師だけでした。
しかし、来談者中心療法は相手の話を聴く傾聴にあります。

傾聴とは話を聴くことですので、医師でなくとも、特別な心理学を習得していなくとも、誰にでも行えると考えました。また、彼は心理療法も同じとして、カウンセリングも心理療法も、素人でも誰でも出来ると考えました。

こうしてカウンセリングは臨床心理士や心理療法家などによって世界中に浸透し、非支持的カウンセリングが知れ渡ったのです。

こういった経緯からカウンセリングが広まったのですが、同時にカウンセリングは共感すれば良いという誤解も広がってしまいました。

確かにカウンセリングでは共感も大事ですが、カウンセラー自身が自己一致の状態であったり、ラポールを構築する必要があったりと、条件が揃ってこそのカウンセリングなのですが、こうした誤解が生じてしまったのです。

カウンセリングの特徴

そもそも、カウンセリングとは、どういう意味なのでしょうか?
カウンセリングとは、ラテン語で、相談する、という意味です。

相談したり、相談されたり、皆さんは普段からされてると思います。

ではそうした相談とカウンセラーが行うロジャーズのカウンセリングはどこが違うのでしょうか?

まず、ロジャーズの言う通り、必要十分条件を満たす必要があります。
また、アドバイスをしないとか、相手が沈黙しても慌てず対処するとか、一般的な相談とは異なります。

話を聴くカウンセリングって効果あるの?

カウンセリングは話を聴くだけ、ではなく特徴的なかかわり方があるのですが、積極的に話を聴いていくことは確かです。

では話を聴くだけで本当に気分が良くなるのか、少し疑問を感じませんか?

皆さんはどうでしょうか。悩みを一人で抱え、友人に相談した時どうでしたでしょうか?
きっと、心が楽になったと思います。

とくに、ずっと辛かった思いを人に話したときなどはどうでしょう。
怒りとか涙とか、そういったものが全部出て、色々な思いがあふれ出てスッキリしますよね。

これを、カタルシスと呼びます。

これは、ずっとモヤモヤした気持ちが放出され心が浄化し、スッキリした状態のことです。
長年、誰にも言えなかった悩みを打ち明けて、こころが楽になったわけですね。
カウンセリングではこうしたカタルシスの効果があるのです。

相談ならカウンセラーじゃなくてもいいのでは?

では相談ならカウンセラーじゃなくとも、家族や友人でも良いのでは?と思う方もいらっしゃることでしょう。

もちろん、家族など信頼できる人に相談することは大切なことです。

ですが、家族や友人だからこそ話しにくい、ということもあるでしょう。他人だからこそ話せることもあるのです。
また、カウンセラーの中にはカウンセリングの知識だけでなく、心理療法の知識、実践経験のある方もいらっしゃいます。心理療法を使えるカウンセラーに相談するのは心強いことも理由として挙げられるでしょう。

相談ならメンタルクリニックに相談しに行くのでは?

カウンセラーに相談するのならメンタルクリニックに相談に行くのでは…?という疑問もあるかと思います。
そうとも限りません。メンタルクリニック(精神科や心療内科)では薬物療法が基本です。
カウンセリングをしていないメンタルクリニックも結構あるのです。

また、はっきりとしない不確かな情報ですがメンタルクリニックに通院してしまうと、生命保険やローンに入れないという噂があります。これが本当かどうかはわかりません。

こうした理由から個人で行うカウンセラーに相談する方がいらっしゃるわけです。

映画のカウンセリングと実際のカウンセリングは違う

一般的なカウンセリングのイメージはどのようなものでしょうか?
よく、映画やドラマでカウンセラーが出てきて、クライエントの言葉を分析したり、的確なアドバイスを行ったりといったシーンが見受けられます。人によってはカウンセラーに対しそんなイメージがあるかもしれません。

しかし、実際のカウンセリングでは心理テストなどで分析をすることはありますが、映画みたいに、あなたはこう考えていますね!と押し付けるようなことはしません。

中には指示的でアドバイスをするタイプの心理療法もありますが、傾聴していくカウンセリングでは、指示したりアドバイスをしない傾向にあります。

なぜアドバイスをしないの?

ではなぜアドバイスをしないのでしょうか?
アドバイスというのはその人の価値観によるものだと考えているからです。

こうした考えが必ず正しい、だからこうすべきだ、と押し付けられたとして、もしそれが不適切なものであったらどうでしょうか。

心の問題を抱えたクライエントは、カウンセラーのアドバイスが絶対的に正しい、と感じてしまうものです。
相手を権威に感じたら尚更です。

カウンセラーのアドバイスは正しいに違いない、と、クライエントは気を使い、何度も相づちを打ち、聞いてるような演技をします。無意識にカウンセラーに嫌われたくないと思っているからです。

これではクライエントの自立心が損なわれてしまいますし、完全に先生と患者の状態であり、全く対等ではありません。

カウンセリングではお互いが先生と患者という関係ではいけません。
そのような関係を作ってしまうと、クライエントは萎縮してしまい、言いたいことを言えなかったり先生の言うことは全て正しい、と、崇拝し、依存してしまう可能性があるのです。
カウンセリングにおいて、二者は同じ人間であり、対等であります。そこに上下の関係を作ってはならないのです。

このようなことから、来談者中心療法のようなカウンセリングでは、基本的にアドバイスはしません。

クライエントは自己不一致の状態で、そんなクライエントを、あなたのままでいいのですよ、というメッセージを反射し続け、そんな自分を受け入れてもらう必要があるのです。

自分自身で何が問題なのかを洞察し自己を一致し、行動の変容をサポートするわけです。
あくまでも隣で支えて、自分らしく生きていけるよう、導くまでがカウンセラーの仕事なのです。

そうしたことから基本的にはアドバイスはしない、というのが傾聴スタイルであるカウンセリングの基本概念なのです。

指示的だったり、アドバイスをすることもある

これもカウンセリングの誤解なんですが、ロジャーズの支持的なカウンセリングを効果がない!と批判する心理療法家もいます。

心理療法の中には、指示的であったり(行動療法では、こうしてくださいと指示することもあります。また認知療法では、こうした考え方はできませんか?と、アドバイス要素を含んで話すこともあります)もあり、心理療法の提唱者によって考え方が違います。

ですから、どのような方法がそのクライエントに適しているのか、その都度カウンセラーは判断して、またクライエントと相談して決めていく必要があるのです。

目次